退職する数年前から、女房と毎月のように旅行に出かけている。旅行と言っても、伊豆や山梨など数時間で行ける範囲で、運転にも負担が少ない場所ばかり。伊豆だけでも、既に60泊ほどしているので、観光する場所も少なくなってきた。最近では、観光よりも宿泊が中心になってきてしまい、いいのか悪いのか分からない。
今回は、以前から一度行ってみたいと思っていた熱海の初島に行くことにした。もう50年近く昔になるが、親戚に初島出身の人がいて、もらったタクアン漬けが我が家の食卓によく出ていた。何だか塩っぱくて苦手だったのだが、そんなことを思い出していた。
天気は最高、熱海発の高速船の時間に間に合うように、海沿いの道路を軽快に飛ばす。熱海港に近い駐車場は狭いから止められるか心配していたが、幸い空きがあった。初島の料理屋が協力して行っている「丼合戦」というイベントとコラボしているセット券4,040円を買って、10時半の出発を待つ。
熱海港に戻って、すぐに宿へ向かった。今日の宿は、「ラビスタ伊豆山」というリゾートホテル。
駐車場が地下にあるのだが、柱が邪魔して止めにくい。明日の朝、出るときのことを心配してしまう。
フロントは売店の横にちょこっとあって、随分小ぢんまりしている。どうやらリゾートマンションを買い取ってホテルに改修したようで、そんな雰囲気が溢れている。部屋は和洋室、つまり洋間と和室の２LDK。リビングも広くて、快適だ。
貸切風呂の予約は23時なので、まずは大風呂に行くことにした。熱海の「走り湯」を利用しているとかで、なかなかいい湯だった。
食事は、前菜、お造り、主菜など伊豆の幸を使った和食膳に、食べ放題の揚げたて天ぷらやバイキング料理が付く大満足の内容。飲み放題プラン2千円をそれぞれ頼んだから、元を取ろうと酒が進む。
部屋に戻ると酔いが回ってしまって、ベッドでウトウト。夜泣きラーメンと貸切風呂には、女房が一人で行ったらしい。酒に強い女房をもらって、良かった。
11時半だったので、すぐに昼食をとることにして、予め目星をつけておいた店に行ったが、何と休み！仕方がないので、すぐ隣の店に入った。食堂「おおや」という店で、「漁師の海鮮丼」で丼合戦に参加していた。例のタクアンが添えられていて、懐かしい味だった。
セット券には「初島アイランドリゾート」の入場券も入っていたので、海沿いを歩いて行ってみた。ハンモックがいくつも張られた空間は、天気がいい日には癒やしの場となる。何だかのんびりして、眠くなってきたが、そんな時間はない。
園内を上がって行くと、上にも入園口があって、そこから外に出た。港までブラブラ歩いて行くと、早咲きの桜と菜の花がテニスコートの近くに咲いていた。4人組の若い男性から声をかけられ、シャッターを押してあげた。
港まで降り、出発時間まで近くを歩いて、時間を潰した。もう来ることもないだろうと思うと、少し寂しかった。
出発時間になっても、ゲートに係員が来ない。随分のんびりしている会社だなと思いながら、日本人はもう少し大らかさが必要だと反省。乗船客の列が長く伸びて、少しざわつき始めた頃、若い係員が、エンジントラブルのために欠航する旨を伝えてきた。
30分後に臨時に他の船がやってきて、何とか無事に乗船。波は少なかったが、船はそれなりに揺れて、船内を移動するにも思うように歩けない。
デッキに出ると、餌をもらうために集まったカモメたちが頭上に乱舞している。糞でも落とされると嫌だから、すぐに席に戻った。
25分ほどで島に到着、初島に初上陸だ。
