夏休みまで、あと少し。休みに入ると家族連れの旅行者が増えて、旅館なども賑やかになるのだが、昔から子供は苦手なので、休みに入る前に旅行に出ることにしている。
例年だと、奥飛騨周辺の福地温泉や平湯温泉などに行くことが多いのだが、何度も行くと見る場所も少なくなったので、今回は北信に行くことにした。
宿はネットで探して、今回初めて見つけた「中尾山温泉」と野尻湖の近くの斑尾高原のペンションを予約。
心配なのは天気だったが、西日本を中心にした大雨の被害は岐阜県までだったようで、事前に電話で話した宿の人によると長野県北部は大丈夫とのことだった。
１０時におばあちゃんをショートステイに送り出して、出発。青い空に入道雲、まさに真夏のような暑さだ。小山町の須走ＩＣから東富士五湖道路に入り、大月から中央高速へ。岡谷で長野自動車道路に入って、更埴ＩＣを出た。全て順調、予定通りだ。
ＩＣを出たのは２時半、チェックインは３時の予定だから、宿へ直行も考えたが、１か所だけ寄っていくことにした。
宿の近くにある長野市茶臼山恐竜公園が無料だから、行ってみた。動物園もあるが、こちらは有料なので時間を掛けなきゃもったいないからやめた。
茶臼山は広大な地滑りで有名とか、恐竜公園は、その跡地に作られている。斜面には多くの恐竜が設置されていて、その大きさもなかなか立派である。
小高い場所なので、眼下には長野の街並みが見下ろせる。時間があって暑くなければもっと上まで行きたかったが、すぐに冷房の効いた車が恋しくなった。
「川中島の合戦で武田信玄が築城した茶臼山山麓にあり、武田方武将の湯治場として古くから知られる中尾山温泉」と、宿のウェブサイトにある。近くの山は、白い岩(裾花凝灰岩)が露出して異様な風景だ。
その岩山に源泉があって、この旅館が所有しているとか。新館の10畳部屋だったが、部屋自体は標準的なレベル。
まずは貸切風呂を予約して、女房と入った。貸切れるのは１時間だけ、入浴よりもセットしてあるカラオケがメインだ。風呂にカラオケがセットしてあるなんて初めてだが、こけら落としの時には新沼謙治と山本リンダが歌いに来たと、後でご主人から聞いた。温まる温泉のせいか、風呂場のサウナ効果か、それとも歌っているからなのか、汗が止めどなく落ちてくる。こりゃあ体に、良さそうだ。
今回泊まっているのは、３組。男は自分も入れて４人、女は１人だ。つまり女風呂は、いつ行っても一人で独占状態だ。ここのお湯は滑々していて、体に良さそうだ。舐めてみたが、全く塩辛くない。なかなかの名湯と見た。ちなみに、部屋の風呂も温泉だったらしいが、使わなかった。
夕食は、個室で。料理は期待通り、素晴らしかった。馬肉と信州牛の特別会席とのことだが、ボリュームも十分。最後はお腹がいっぱいで、手を付けない料理も多かった。
ご主人が自慢していたが、京都の料亭で修業した板前さんとかで、料理も好評らしい。
長野市内にあっても、あまり知られていない温泉のようで、「隠れた名旅館」と言ったところか。若い中居さんの接客も心地良く、いい旅館を見つけたと思った。旅館の名は、「松仙閣」という。