箱根へ

　４月に職場が異動してから、全く分からない仕事に疲れ切って帰宅する毎日。土日にも、進まない仕事を少しでもこなそうと出勤していた。唯一の趣味とも言える釣りでさえ、しばらくは行く余裕もなく、自然にストレスもたまっていた。
　約３か月が経過し、少しずつだが自分を見る時間ができてきた。せっかく会員になっている安く旅館に泊まれるサービスを、久しぶりに利用してみることにした。もちろん、こういうこと（うまい料理）には女房は反対などしない。
　ネットで予約したのは、強羅にある旅館。その宣伝文句は、「箱根の高台に佇む隠れ秘湯の宿。当宿からは箱根外輪山の山立を一望できます。庭園には5つの個室貸切露天風呂があり、箱根の四季を感じながら幻想的なひと時を満喫！お食事は見た目も楽しめる箱根強羅会席膳。旬の食材をふんだんに使い、毎月お料理内容を変更致しております。料理長の心と技でお料理をご満喫ください！。」
　家を３時少し前に出て、途中で女房を拾って、旅館に着いたのは４時少し前。約１時間、箱根が近くにあることを改めて認識する。それにしても、強羅の坂は、キツイなぁ。

　チェックインから、驚いた。若い係員さんは、台湾の国立大学生とかで、日本語はたどたどしい。でも、一生懸命丁寧に話そうとしていることが伝わってきて、ある意味、感動した。他にも台湾から来ている娘さんたちが何人かいて、笑顔の接客を行っている。
　部屋は和室、畳の青がすがすがしい。でも、イグサの匂いはないから、人工かな。部屋は壁などに穴があいたり、傷みは相当ある。でも、別にそんなことは気にならない。いわゆる、モウマンタイ無問題だ。
　今回のプランには、貸切露天風呂が１回無料でついている。早速５時から４０分を、予約。食事は、６時からとか。

旅の楽しみは、何といっても食事。食事処に行くと、一番窓側のスペースが我が家に割り当てられている。正面に大文字が見える、最高の席。夕暮れを鑑賞しながら、おいしい食事なんて贅沢かな。
　料理の方は、肉あり、鮎あり、まあ量も味も十分だった。一番搾り１本を、２人で分け合って飲んだが、それでチョウドイー感じ。隣は若い外人さんだったが、台湾の娘さんが英語で対応していた。負けじと女房に、「鮎はSweetfishと言うんだよ」と知識をひけらかすと「そーお？」と信じていなかった。

　夕食後は、テレビを見るぐらいしかやることがない。女房は、もう一度、温泉に行ったが、こちとら何もやる気もなく、そのまま寝てしまったようだ。
　翌朝、朝食前に温泉に行ってみた。先客が２名いたが、既に上がる所で、湯船には誰もいない。熱い湯にゆっくり肩まで浸かり、隣りのぬるめの湯にも浸かってみた。温泉自体がどうというより、このマッタリ感がいいんだな。
　朝食は、夕食と同じ席。飲み過ぎた？胃に、五穀粥が心地よい。給仕も全て台湾娘が行うが、頑張っている姿にチップをあげたくなってしまう。でも、貧乏人の分際で偉そうにするのはやめた。
　　　　　　　　　　　

　そのまま帰るのも何だから、近くにあるという大雄山別院に寄ってみることにして、カーナビをセット。数分で、早雲山に到着。車を置いて、山道を登ると数分で、天狗さんが迎えてくれる。大雄山最乗寺は、子どもの頃から遊び場のようなものだったが、別院に来るのは初めて。賽銭は入れずに、お参りだけ済ます。ご利益、ないかな。

　あとは一気に山を下り、小田原のショッピンセンターに寄って、買物と昼食を済ませて帰宅。今回は、新しくした女房の車を運転して行ったが、パワフルな反応にドライブ自体が楽しかった。月に一度くらい、こんな風に出かけたいものだ。お金さえ、続けばだけど。

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